【地域情報紙ぷれすしーど　2023年7月28日号掲載】

　気になっていたドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」を配信アプリでようやく観ました。呉市で暮らす90代の夫婦。認知症になった妻を支える夫。東京で番組制作を生業とするひとり娘が監督を務めた作品です。

　できることができなくなってくる本人の苛立ちと不安、介護サービスを利用し始めた頃の戸惑い、やがて際立ってくる被害妄想…。本人にとって、両親にとって、何が幸せなのか。カメラを回し続ける娘の迷いごと収められていました。

　親に勧めるかどうか、迷いました。いずれは理不尽な苛立ちを家族にぶつけるようになるのだから、元気なうちは思いやり合って明るく過ごそう。そう思ってくれるのなら観てほしい。けれど、この先を悲観するきっかけになるのだとしたら、むしろ観なくていい。

　迷いながら「もう観た？」と聞いてみると「観たよ」と。「どうだった？」と尋ねると「全然おもしろなかった」。どういうおもしろさを求めていたのかは聞けませんでした。